Nama hostelは清潔でよいホステルだったが、年越しというタイミングだったからか上階の足音や外の花火、夜中まで部屋で音楽を聴いている人がいて熟睡はできなかった。
宿には日本でいる神棚(祠?)が置かれており、タイにいることを実感できる。
8:25に宿を出発し、まずは朝ご飯を食べることにした。
早朝で涼しいが、東南アジア特有の乾いたコンクリートの香りがする。決して良い香りとは言えないのだが、どことなく落ち着くのだ。小さな寺院もみかけ、自分のテンションが徐々に上がっているのを感じる。
ゴミ収集車が走っており、物凄い勢いでゴミ袋を回収していた。ここは日本の仕組みと変わらない。
ターペー門を目指して歩いていたが、どうやら道を間違えてしまったようだ。偶然野営のトレーニング施設を見かけたので、ついでにやってみることに。既にトレーニングを開始している人がいたので、軽く会釈してマシーンを使ってみた。
触ってすぐに分かった、設備のクオリティ低すぎることに。何故か負荷を変えることができないのだ。トレーニングマシーンの形をしたオブジェとも言える。
先行してトレーニングしていた人に「土嚢を置くとよい」と言われ、置いてみたのだが、せいぜい5kg増である。マシーンなのにフリーウエイトであり、そのフリーとは”何もない”を意味していたのだ。
先行者は楽しそうにトレーニングしていたが(意味はなさそう)、自分はディップスだけしてその場を去ることにした。
ターペー門は新年ムード全開であった。カウントダウンライブもやっていたみたいで、参加できなかったことが悔やまれる。
ターペー門はその歴史だけでなく、一斉に飛び立つ鳩をバックに写真撮影できるインスタ映えスポットとしても有名なのだが、人工的に作られた”映え”である。
現実は以下である。
①タイ人のおじさんorおばさんが餌を撒いて鳩を集める。
②ペットボトルを先端に括り付けた棒や空の灯油缶を使用したり、奇声を発することで大きな音を出すことで鳩を驚かせ、無理矢理飛び立たせる。
Instagramは基本的には投稿者の自己承認欲で溢れた投稿ばかりなのだが、このような現実や自然体を映した投稿の方が個人的には好きである。
ターペー門を東方面に少し歩くと、GWに宿泊した「Amora Tapae Hotel 」に辿り着いた。GWには無かった新年の装飾がされており時期の変化を感じた。
早朝になると窓に鳩が飛んできて五月蝿いことが欠点だが、チェンマイ市内の眺めもよく、ホスピタリティや立地も素晴らしく、改めて良い宿だったと思った。
しかしチェンマイも都会である。店の移り変わりは激しいようで、Amora Tapae Hotelの近くにあるセクシーなお姉さんが並ぶ「Snow White」というお店が閉店していた。今回は1人ということもあり、羽根を伸ばそうかと思っていたのに残念だ。
セブンイレブンで朝食としてデニッシュ生地のホットサンドを買ってみた。
チーズが甘くてグラタンサンドようで本当に美味しい。無限に食べられるのではと錯覚するくらいである。価格は35B。
腹ごなしも済んだのでGrabを利用し、チェンマイバスターミナル3へ向かった。
今回はTaxiではなく、Bikeでの移動を試みた。Taxiが120Bであるのに対し、Taxiは50Bと半額以下である。エミタさんと2人であれば、Taxiでもよいが、安い方がいいし、何よりも東南アジアを体感したかったのだ。
過去に2ケツしたのはカンボジアへ行ったときが最後なので久々で緊張したが、10分強で到着することができた。車の間をぬって走るので、車よりも到着時間は早い。
以下が乗るときの注意点だろう。
①最初のシッティングポジションは重要。動き始めるとチンポジのように気楽に直せない。
②再発進やカーブでは体が前後左右に振られるので、手でシートフレームを掴んでおくとよい。
③風圧や振動でポケットの鍵やスマホ、カバンの荷物が落ちる可能性があるので乗る前に落下リスクが無いか確認しておく。
長距離乗るにはつらいし、運転手によってはノーヘルで後部座席に座ることになるので安全をみるならTaxiの方が良いと思う。
でも運転をしなくても、東南アジアの交通事情を運転者視点で見ることができるので1つのアトラクションとして楽しむのもよいと私は思う。
バスターミナルではチェンライ行のバスチケットを買うことになる。チェンライに行くにはGreen Busと呼ばれるバスに乗るのだが、昨日は早く寝たい気持ちの方が強く、予約をしていなかったので乗れるか不安であった。
窓口へと足を運び、今から一番早い便に乗りたいと言ったところ「Today!?」と驚かれてしまった。Green BusにはVIP、X、AのClassがあるが、自分はエアコン完備と車内トイレがあれば十分なのでX classを選択した。Aはトイレ無し、扇風機なので近距離でないとちょっとツラそうだ。
出発まで10分ほど時間があったので、売店でストロベリー味の水を購入した。
バス料金には水代も含まれているので、水分を買う必要はないが、チェンライまでの工程は4時間あるのでタイの暑さを考えると買っておいた方がベターだろう。
21番ターミナルに停車しているバスに乗り込む。車内は満席で、隣の席は50代くらいの小柄なおばちゃんだった。
グリーンバスという名前だが、車内は青色であるところがよい。
バスに乗ること75分。休憩場所であるメーカチャーンバスターミナルに到着した。
ここでは10分の休憩を取ることができる。運転手の人が売店で買った肉饅を美味しそうに食べる姿をみて、自分も買ってみることに。
甘いものを食べたい口になっていたので、Black Bean (20B)を選択。
日本で食べる中華饅とは違い、オープンタイプであった。生地はモフモフしていて柔らかく、少し荒くすり潰された黒豆がよく合う。人工的な甘さではなく、優しい味で絶品だ。日光の下、クーラーで冷え切った身体を温め、バスへ戻った。
糖分を取ったからか睡魔に襲われ、気付いたらチェンライバスターミナルに到着していた。時刻は13:35であった。
チェンライは静かな街で、トゥクトゥクのオジサンによる客引きも無かった。駅前には大量のスクーターが停車されていたが、出すのに一苦労しそうだ。
ちょうどお昼時だったので、カオソーイの人気店「ラーン・ポージャイ・カオソーイガイ」に向かった。
店名にもなっているカオソーイ ガイを注文。漬物、ムラサキオニオン、マナオがトッピングとして付いてきた。
スープはあっさりしているが味は少し辛い。漬物はそこまで辛くはない。ベースを辛くして、漬物やマナオで酸味を持たせながら食べる店のようだ。チキンは細かく1口サイズになっているので食べやすい。チキンレッグがないとカオソーイと認めない人にはNGの店だろう。日本人でも食べやすく、是非リピートしたいお店である。
ご飯を食べ終わったが、ナイトマーケットに行くにも時間が中途半端だ。とりあえず宿にチェックインだけすることにした。
本日の宿は「BED(Bed eat drink) Friends hostel」というところだ。ドミトリーや共用エリアも綺麗で、スタッフの方も愛想よく丁寧。すでに当たりオーラが溢れ出ている。
荷物だけ置き、バスターミナルに戻った。
戻ったのには理由がある。チェンライの観光名所「ワット・ロンクン」、通称ホワイトテンプルに行くためだ。チェンライバスターミナルには様々なバスが停車しているが、バスの前にどこへ行くのか、何時に出発するのか表示されているので分かりやすい。
運転手の人がいたので、乗ってていいか確認したところ、オッケーという反応だったので乗り込んだ。
現在時刻は14:50であり、チェンライ行の帰りの最終便が16:20に乗れるか不安だが、ソンテウでも拾って帰れば問題ないだろう。
バス内はグリーンバス同様に青色で統一されていた。チェンライにはワット・ロンスアテンことブルーテンプルもあるので紛らわしい。白色で統一すればいいのにと思う。
エアコンはなく、出発時間になると途端に込み始めるし、チェンライバスターミナル以外からの乗客者もいるので、座りたい人は10分前から乗ったほうがよい。
バス代は信号待ちのときに集金係のおばちゃんに渡せばよい。
15:00に出発し、走ること20分でワット・ロンクンが見えてきた。
集金係のおばちゃんがワット・ロンクンを指さし、「ここで降りな」と言ってくれた。
勝手に乗り込んだバスの終点はワット・ロンクンと思っていたが、どうやらもっと先にあるようだ。危うく知らない土地にポツンと一人取り残されるとこだった。
ワット・ロンクンは仏陀の清浄さを表す白を基調としており、天国をイメージした本堂と地獄を彷彿させるデザインがされた現代的な寺院である。創設者が元画家であるチャルーンチャイ・コーシピパットということもあり、歴史的造物というよりもアート作品のようである。入場料100Bを支払い、中へ入ってみる。見ているだけで十分楽しめる。
ドラゴンや髑髏、仮面など中学生が好きそうなデザイン・・・
ネットやYoutubeではあまり取り上げられていないが、寺院内には岩削って作った作品もあり、穴場スポットともいえる。ここは愛知県蒲郡市にある竹島ファンタジー館の劣化版といった感じだった。追加で50B発生するが損した気分にはならない。
思いの外見どころが多かったので、チェンライに帰る終バスを逃してしまった。
ネットにあるソンテウ乗り場に行ってみたが、一向に来ない。しかもワット・ロンクンの周りにも全然いないではないか。Grabでピックアップを試みたが、全然捕まえることができない。正直焦り始めた。
ただ焦っても仕方ないので、「Khru Sichan Coffee」でストロベリー&ココナッツスムージーを飲むことにした。ココナッツがあることで苺味が薄まってしまったので、苺だけでもよかったかな。
一息つけたのでソンテウ探しを再開した。けれど30分探しても見つからない。諦めて近くにいるタイ人に相談しようと思ったとき、台湾人の学生と思われる集団がソンテウのおじさんと価格交渉しているではないか。
話が付いたタイミングで私も乗せてくれよお(懇願)と伝えたところ、50Bで乗ることができた。Grabだと160Bだったので安く済んでよかった。
ソンテウから望む道路が綺麗だ。
宿へと戻り、日が完全に落ちるまでダラダラと過ごした。
日が落ちるまで待ったのはナイトバザールに行きたかったからだ。チェンライのナイトバザールはバンコクやチェンマイと比べると大人し目で、接客も全くしてこない。
ただ、商品を見ているのをずっと見てくる。逆に気まずい。
ナイトマーケットでよく見る、ご飯を食べながらライブ音楽を聴けるエリアに来た。屋台が並んでおり、ここで食べようかと思ったが屋台街は味は微妙なことが多いので周辺にある人気店に行くことにした。
途中で有名な時計塔をみつけた。札幌の時計台に通ずるものがある。
「チャルーンチャイ」という店が地元の人が多く、繁盛してそうだったので入ってみた。机に案内されたが、メニュー表はなく、店員さんも来ないのでどうしたらいいか分からない迷える子羊状態になってしまった。
別の席にあったメニュー表を取り、注文しようとしたが、全てタイ語で何が書いてあるか分からない。Google Lensで調べても、単語が並ぶだけでどんな料理か想像できない。
最終的にはGoogleの口コミ画像をみて、美味しそうな3種を注文してみた。しかし店員さんがやたら米を進めてくる。米の注文はデフォルト仕様なのか?そんなにお勧めするならとライス(小)も注文した。
まずは豚の唐揚げ(ムークローブ)が出てきた。スイートチリとナムプリック、シーユーダムがソースとして付いてきた。ナムプリックが一番マッチしていた。ビールがあると最高だったな。でもカリカリに揚げられすぎていて固い。
その後は茄子と唐辛子の炒め物(パットマクワ)。ハーブの香りが強く、唐辛子がピリピリと舌を刺激する。観光客用に唐辛子を遠慮してはいなないので、唐辛子は避けながら食べた。タイらしい濃い味付けで、米が食べたくなる。まさか店員さんはこれを見越していたのか!?
そして鶏挽肉とニンニクのナンプラー炒め。口に入れるとまずは香ばしさがきて、次に塩気、最後にニンニクパンチがやってくる。これは完全に酒のつまみになる味だ。
美味しく料理を食べていた時、「ガリッ」という異音がした。何か変なものでも入っていたのかな?と思い口から出してみると見覚えのある白い塊が。
そう、歯である。慌てて舌で歯を舐めてみたら、一部無くなっているではないか。下の第1大臼歯が欠けてしまったのだ。
早いところ詰め物をして欲しいが、ここはタイ。簡単には治せそうにないし、保険も効かないので日本に帰るまでどうすることもできない。幸いなことに水がしみたり、痛むことはないのが救いだ。
自分の身体の一部を失うのは寂しいもので、少し気分が下がってしまった。それもこれも固すぎるムークローブのせいだ。
チェンライは野犬が全然いないので、夜道を歩くことができる。宿に戻る途中でセブンイレブンでジャックフルーツとバイタミルクのタイティー味を購入して戻った。
油断していたらコンビニの入り口で糞犬が爆睡している。蹴っ飛ばして追っ払いたいが、きっと返り討ちにあうので止めた。
共同キッチンでジャックフルーツを食べていると日本人のおじさんに話しかけられた。
どうやら大阪生まれ、三重県育ちでタイに40回以上来ているそうだ。もう仕事は引退されており、1~2ケ月単位でタイをはじめ様々な国を訪れているとのこと。
年越しはタイ人の彼女とプーチーファーで初日の出をみて、チェンライ泊など自由気ままな人生を送られていた。タイ人の彼女とは学生時代に休学して、アメリカに1年間留学していたこともあり、日常会話は英語でしている。この後はチェンライ空港までレンタカーで彼女を送迎した後、パヤオ~プレーを経て、夜行バスでバンコクに戻ると言っていた。タイ慣れしており、かなりアクティブだ。
私もタイ人の彼女を作るためにも英語を学ばなければならない。エミタさん?誰だったかしら・・・
レンタカーを借りようか悩んでいると相談したところ、B-RIDERというお店でレンタルバイクを借りるといいと勧めてもらった。日本の普通車免許だけだと、無免許になるが、レンタルするときに確認もされずに乗れてしまうらしい。ただ、事故ったりしたときは自己責任だとういう。タイは中学生くらいの子がスクーターに4人乗りしたりしている光景が当たり前なので不思議ではないか。
このとき私は鳥肌が立っていた。公共交通機関による制限から解放され、行動範囲やスケジュールの幅が一気に広がった。そして天敵である野犬から逃げる足も手に入る。
このおじさんとの出会いは本当によかった。他にもチェンライで行われているビエンナーレの存在やお勧めの飲食店など色々と情報交換することができた。
些細な出会いが自分のやれることを広げてくれる。こういうことがあるので、ゲストハウスが好きなのだ。
もう少し話していたかったが、夜遅いこともあり、おじさんは部屋へと戻っていった。
キッチンに残った私はジャックフルーツを食べながら、明日からの行動について考えていた。
ジャックフルーツの食感は固く、パイナップルとリンゴの中間のような味であった。喉がむずむずするので、食べすぎには注意が必要かな。
バイタミルクを飲み、レンタバイクを借りることにした。人生を楽しむのだ。
ジューガンマイクラップ