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タイ料理が大量に。

カルチャーショック タイ人

河出書房新社の”素顔がみえる!お国柄がのぞく!カルチャーショック・シリーズ”より、「タイ人」を読んでみました。著者はロバートクーパー氏になります。

 

クーパー氏はDR(Design Review)といった製造業では切り離せない、ステージゲート法の研究主導者でもあります。業務上関係あるのはこちらなのですが、いかんせん興味が湧かない。ですので同一著者であるこちらの書籍を読んでみました。

 

冗談はさておき、こちらの本はタイ旅行を充実させるための下知識を入れておくために読みました。書籍の内容と照らしながら行動することで、よりタイ文化を知れると思ったからです。

 

読んでみた感想として、仏教大国であるタイは宗教と生活を切り離して考えることができず、全ての行動に仏教が根付いているように感じました。タイ各地でみかける僧侶がどのような扱い、生活をしているかも知ることができタイ旅行へ訪れた際、今までと異なる視点で景色をみることができたと思います。

今ではVlogという形で、タイに関する情報は視覚的にも得ることができますが、大体が屋台料理や観光スポット、ナイトスポットの紹介で終わっているかと思います。

やはりタイという国の骨格でもある仏教について、深く知るにはこのような書籍が必要だと思います。

ただ、仏教だけでなく、イサーンで昆虫食が盛んである理由やタイのおかま事情など面白い内容も含まれていますので、タイ旅行に訪れる際は手に取って読んでみることをお勧めします。ただ、1997年に発行された書籍であり、26年経過した現在とは乖離する内容があることは理解しておく必要はあります。

 

ジューガンマイクラップ。

 

書籍の詳細は以下に示します。

■基本的な立振る舞い

・タイ人がよく合掌(ワイ)をするのですが、肘を状態に付けるのが基本。

・寺院での土下座はベンチャカ・プラディットといい、5点停止を意味している。5点とは額、両膝、両肘。

・タイでは霊魂が宿る頭は最も重要な部位、逆に足の裏は最低の部位。つまりは、僧侶や目上の方の前での胡坐や足を組んで椅子に座るのはNG行為。胡坐は僧侶の特権。つまりは仏像に登るという行為は最も卑しいとされる足で、最も尊いとされる仏陀を踏みつける行為になるので最悪の場合、逮捕される。

・タイ人は万事にゆったりしており、大声を出すことは無礼に当たる。喚かれると話を理解するより、身の保身に走る。

・タイ人は日常の意思伝達を目と眉を使って済ませる。

・タイで顎髭は皆無。清潔感が無く、老人だと思われるだけ。

・タイのパーティでは黒服はNG。黒は死の色であり、喪服扱い。

・食べることは人生最大の楽しみ。仏教の殺生戒が肉を拒むことはなく、僧侶も肉を食べる。

 

■仏教の教え

・タイで目にする機会の多い数字の3は仏教の三宝という考えからきている。すなわち、仏陀、達磨、僧侶。

・大事なことは占星術師に決めてもらう。占い結果が全てなので結婚式の日程が早朝になることもある。

・子供の名前は親がつけるが、多くの場合は僧侶や年長者につけてもらう。

・生後1ヶ月は本名とは別に、カエルや豚といった呼び名を使われる。精霊が興味を持つため。

・出家には20歳に達したときに伝染病への罹患、殺人の有無、両親の許可、4年の就学という条件が要る。

・女性は出家ができない。その為、公徳を積み上げて満たされない思いを埋めようとする。托鉢に女性が多いのはこの理由から。

・俗にいう尼さんは僧ではあるが、男性の僧とは異なる。托鉢にはでかけない。

・出家直前には得度式と呼ばれる儀式が行われる。虚栄と性の放棄を象徴する眉と髪が剃られ、白衣を身に纏う。その後、僧院長より柿色の衣を授かる。

 

■タイ人の女性

・経済的、社会的に男性より地位が劣る。

・タイ女性の1%が人類最古の職業である売春に従事している。

・タイの不道徳には異性との身体接触が含まれる。下着も身体の一部とみなされている。女性は僧侶に物を渡すことも禁止されている。

このような厳しい制約があるため、中級ホテルの多くが地下に奇妙な駐車場を備えている。駐車場では少年が駆け寄ってきて、カーテンをかけるそう。ちなみにカーテンは洗車用ではない。

・タイでは生計を支えるために、家族全員の協力が必要。専業主婦は特権階級のみ。

・妊婦は釣りをすること、辛い唐辛子を食べること、嘘をつくこと、葬式にでることは健康に害が出ると禁止されてきた。今日ではこの考えは薄れている。

 

■タイの寺院、僧侶

菩提樹仏陀が悟りを開いたとされる尊い樹。

・僧侶が纏っている柿色の衣はチーオンと呼ばれる。皆同じ服装をしているが、地位は所持している扇で識別できる。

・食事は朝と昼の2回のみ。それ以外は瞑想と読経。

・多くの僧侶が教員免許を取得しており、寺子屋を開いたりしている。

上座部仏教の戒律は厳しく227ある。特に女性との関わり、盗み、殺生は大罪とされている。

 

■タイの生活

ムエタイ王国故に、手よりも足が先に出る。

マイルドセブン事件。パッケージにワットプラケオを採用したところ、タイ人の心を販売目的に用いるのは侮辱行為に該当。販売中止となった。

 

■タイでの仕事

バンコクにある企業の多くの人事構成は血縁関係を基礎とする。

・批判は暴力と同じ扱い。人を傷つけ、心の調和を乱すのは言語道断。

・目下の者を否定することは、目上の者を否定することになる。

⇒任に堪えられない者に仕事を任せた。指示が足りていなかった。

・タイ人から見たビジネスマンとは至極退屈な打合せ、会議、セミナに狩り出せれてお金を貰っている人。

 

■タイシルク

・養蚕の歴史は比較的浅く、17世紀頃からとされている。歴史が浅い理由としては中国が養蚕技術を国家機密としていたため。僧侶が密かに蚕を持ち込むことで、細々生産をしていた。

・現在の前身OSSに所属していた、ジムトンプソンがタイに訪れた際に絹に魅了され、タイに留まり特産品として育てるようになった。

・その後ジムトンプソンは理由もなく失踪し、タイ人の夫人や兄弟が跡を継ぎ広めた。

 

■タイの結婚式と葬式

・民族、宗教学的な禁忌はないが、重婚は禁止。

・日程は占星術で決められ、新郎新婦は鉢巻上の聖糸で結ばれる。

・葬式は一生の中で最も重要視される儀式。終わり、つまりは転生の始まりだから。

・遺体の口には1B硬化を含ませる。死後の世界で道案内に渡すため。

 

■タイのおかま

・同性愛の男性が多いのはファッション業界。デザイナーはゲイが多く、美容師は同性愛者以外を探すのが難しい。

・タイの男性の2割がゲイ。タイ女性が強すぎるため、繊細な感性を持った男性は女性化する。

・タイの家庭では男性を優遇することがないので、女性ばかりの家庭で育った男性は女性化する。

 

■タイ地域

イサーン

・赤土に覆われた地域が多く、土壌中の塩分濃度が高い。また、雨季が短く、乾季が長い。その為、土地がやせている。

・イサーンではもち米の方がよく育つ。

⇒イサーン地方で木の根や虫を食べることが多いのは、肥沃な土地ではないことに由来する。もち米は質素な生活をするイサーンの食べ物だと思われている。

ハジャイ

・ケチで貪欲、経済観念があり、商魂逞しい。

・歴史的にもインド商人や華僑が往来する土地であり、マレー国境に近いのでイスラム教徒が多い。

・マレーシアからは電化製品が安く買え、タイからは食品が安く買える。