タイ式という本を読んでしましたので簡単にご紹介。
海外旅行は単に人の移動ではない、移動と共に情報や経済、文化が運ばれる。
著者である矢﨑葉子氏が本書の纏めとして記した言葉である。
自身のブログタイトル「文明人の水平移動」と近い感覚を覚えた。おそらくタイに魅せられた同類であろう。
本書の主となる話は、エビの養殖。
プーケットにて養殖エビを国際商品として成り上がろうとした一人の若者の話である。具体的には筆者が訪れたホテルで知り合ったロンというタイ人の起業~閉業までの話である。
その前に、今回の話にて中心場所となるプーケットについて述べたい。
プーケットと聞くとリゾート地を思い浮かべるが、それは間違っていない。ただ元々は欧米人御用達のリゾート地で、タイ航空が成田-プーケット間の直行便を繋げたことにより、日本人が行き来する観光地となっている。
観光業以外にはスズの採掘が有名で、実は一人当たりの収入はタイで最大の場所なのである。
インド人や中国人商人がスズを求めて多く往来していたので、プーケットには中国/ポルトガル折衷の建物がいまでも残っている。
街を歩く時に建物から歴史を紐解いていくのも面白いだろう。
そんなプーケットの北部にあるパンガー県ではエビの養殖が盛んで、エビタウンとも呼ばれている。タイでは一時期エビの養殖がブームとなったが、アミティアというエビ餌価格の高騰、政府の介入により開業した7~8割が閉業となっている。
ロンは例にもれず、養殖ブームに乗っかり、一獲千金を夢見たが採算が合わずに閉業の道を辿った。
ちなみに政府の介入というのは、エビに起こる流行性の病や米国が天然エビ収穫時に網がウミガメへ引っかかる対策ができていない国に対して、禁輸をしたことである。
そのため、各国がタイからインドネシア、ベトナムへと輸入を切り替えたことを指す。
読んでいて本当に人間味があふれる話であった。そして簡単に起業ができるのだと思ったが、やはりお金に関しは細かく管理していないと破綻するのだと感じた。
トラブルがあっても、めげずに自分の夢を追い続ける。マイペンライの精神を感じ取ることができるよい本でしたとさ。
ジューガンマイクラップ