崇拝している高野秀行氏の著書で、過去に一度読んだことがありましたが再読しました。前回読んだのは約10年前で、タイに全く興味がないときでした。
当時も面白く読むことができたのですが、その後何度かタイを訪れ、タイ大好きになった今読むと更に面白いのではと思い再読しました。
読んでみるとやはり面白い。
特にタイの食文化については興味を引かれた。
タイの食文化料理で欠くことのできないのは東北料理、つまりイサーン料理である。
イサーンと聞くと昆虫食が思い浮かぶが、イサーンでも特に貧しいブリラムという地域では、おたまじゃくし料理が食べることができる。調理法はいたってシンプルで、おたまじゃくしを水煮したものに塩と唐辛子で味付けのみ。
5月に訪れると食べられるが、それ以降訪れるとカエルになってしまっているそうだ。
読んでみて気になった食べ物としては北タイ料理(ランナー料理)にはロッドゥアンという芋虫をカリカリに揚げたもの、タイ南部のハジャイでのタガメ調味料、ナコンパトムの大鯰、サコンナコンのマオワインがある。マオワインはせっかくなら赤蟻の卵をつまみに飲んでみたいですね。
食文化以外でもタイ文化は興味深い。
そもそも異文化を知る行為が自分は楽しく思える。本書で書かれていた内容をピックしてご紹介したい。
・タイでは禁煙=先進国のイメージがあるからか、エアコンのかかっている場所では禁煙であることが多い。白眼視するつもりはないが、エアコンや禁煙に先進国のイメージがないのでこの感覚は理解ができなかった。
・タイでは娘が生まれると、骨が固まる半年くらいは脚を開いて横抱えにしないのでX脚やO脚が少ない。
・タイ人も日本人と同様に議論が苦手。ただ、理由は異なっており日本人が周囲の雰囲気や感情を気にするからであるのに対し、タイ人は他人に興味がなく、自己主張する必要性を感じないから。ただし、利益が絡むときは変わる。
・タイ人は賭博が大好き。マカオのカジノで最も恐れられているのは刹那的度胸が他国の人とは異なるため。宝くじも大好きで、「いつも熱心にお参りしているから当たるに決まっている」と思い込んでいる。ちなみに歌舞伎町にはタイ人専門の地下カジノがあるそう・・・
・タイのステイタスは車。ベンツやBMWは日本よりも多く、日産タイの息子も日産車ではなくベンツに乗っている。
何冊かタイに関する本を読んでいるが、高野氏は他の著者とは一線を画すように感じる。何が違うか考えると、タイ文化に深く足を突っ込んていることに尽きる。
最近はタイで生活する人も増え、YouTubeやSNSを通してタイ情報を発信している。しかしその多くが一般人受けの良い美味しい店の紹介や観光地の紹介ばかりで、タイの政治、思考、食文化、宗教に興味を示している人は少ない。
私自身も他人の経験を読み、記載しているだけなので新規性が皆無である。
タイに行かずして、タイ文化を発信する方法を自分なりに見つけていかないとな・・・
ジューガンマイクラップ