森下ヒバリさんの著書である「陽気なタイランド」を読んでみました。
森下ヒバリさんですが1961年生まれで、1986年に食べたタイ料理の美味しさがきっかけとなり、幾度なくタイに訪れるようになった方です。イサーン地方のコーンケーンに2年間住んだりと、自由奔放な生活をされております。
1990年前半であれば、インターネット普及率も低く(10%に満たない)、現代ようにスマートフォンで簡単に調べたり、記録したりできません。
本書はタイで暮らす中での面白エピソードなどが書かれており、トイレ事情や服装など、辺境探検家である高野秀行さんとは異なる視点での記録がされております。
おそらく実体験をその場でメモしたり、図書館に通って政治背景を調べたのかと思います。その姿を想像すると、タイへの強い思いがより一層強く感じ取れることができました。
タイ料理を食べたことがないorタイに行ったことがない人ともにお勧めできる本になります。かたっ苦しくなくて読みやすいしね。
以下は面白いと思った内容を忘備録として。
①タイの王様
・タイ王国には王室があり、かつての日本のように不敬罪が存在する。
・王様の悪口を言う、映画館等で王様を讃えている歌が流れているときに起立しないと罪になる。一方で、国民のアイドル的存在なのでグッズが売られている。
②タイ人の運転
・かなりアバウトで、2車線の道路を勝手に3、4車線にする。
・反対車線を爆走する、ウインカーを出さない。
・バンコクの高速道路は日本とタイで共同で作ったが、高速料金の価格設定で揉めて日本は経営から退いた。
③タイのお坊さん
・オレンジの袈裟を着て、髪と眉を剃り落としている。
・毎日托鉢に出かけて食べ物を信者から差し出される。食べ物をもらってもらうことが信者にとっては徳を積んだことになる。
・徳の大きさにはランクがあり、最大は出家することで、次が寺への寄進。
・徳を積む考えは輪廻の考えに基づく。徳で未来の運命が決まる。
④国境貿易
・タイバーツはミャンマーでは価値が高いので安く買い物ができる。
・バーツを手に入れたミャンマー人はタイの商人やタイでミャンマーでは手に入りにくいものを買う。
・関税が発生しないこの方法はミャンマーに限らず、隣接する各国で行われており、国境貿易といわれる。
・元々軍事政権であったビルマは2党での総選挙を約束。総選挙にてアウンサウンスーチーが率いるNDLが議席を獲得した。
・軍事政権は選挙で負けたが、譲らず、NDLをはじめ民主化運動をしている人を逮捕、殺害していた。アウンサウンスーチーも逮捕され、自宅に軟禁された。
・その後も軍事政権による弾圧は繰り返され、ビルマ人は弾圧から逃れるためにタイへと逃げ込んだ。
・軍事政権は国名をユニオンオブバーマ(日本語発音でバーマはビルマになる。ビルマ人の意味)から色々な民族という意味を持つ、ユニオンオブミャンマーに変更した。
・国名を変えたのが軍事政権であるので、軍事政権を認めない者はビルマという表現を意図して使用する。
・軍事国家に対し、資金援助するということは銃等を購入する資金を炎上することになり、この資金は日本国民の税金から出ている。
⑥タイ式トイレ
・日本とは反対向きに座る。(ドアに顔を向ける。)
・穴の近くにブツを落とす、ダイレクトに入れれるので機能的。
・トイレの近くに水釜があり、水を汲んでブツを流す。流す前には自分のお尻にも水をかけて、指を使って洗う。最近はホースタイプの洗浄機が備え付けられている。
・田舎町はトイレがない場所もあり、女性はパトゥンを広げて用を足す。かつてベルサイユ宮殿では宮殿の庭でドレスを広げて用を足していたのと同様。
・ヨーロッパは当時はおまるに用を足し、近くの道路に捨てていた。糞尿の山ができており、不潔で臭かった。
⑦その他
・タイの仏教は日本よりも厳しく、様々な制限がある。
・午前中しか食べてはならない、働いてはならない、殺生してはならない、嘘をついてはならない、姦淫してはならないなど。
・有名な坊さんに隠し子がいると分かったときは連日新聞の一面をかざる。
ジューガンマイクラップ。